バリアフリー法から、私たちNPOにできること

私たちNPO法人みんなのトイレマッププロジェクトは、「バリアフリーに関する情報を誰かの『一歩』に」という理念のもと活動しています。今回は、その根幹にも関わる「バリアフリー法」と、そこから見えてくる私たちの役割について考えてみたいと思います。

■ バリアフリー法とは何か

そもそもバリアフリー法となんでしょうか。

バリアフリー法の正式名称は「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」です。2006年に施行され、旧ハートビル法と交通バリアフリー法を統合したものです。

この法律は、建築物・公共交通・道路・都市公園などを対象に、一定規模以上の施設に対してバリアフリー基準への適合を義務づけています。さらに2018年・2020年の改正により、「心のバリアフリー」や情報提供の改善、住民参加の仕組みも盛り込まれました。

例えば以下のような内容があります。
• 床面積2,000㎡以上の施設に対するバリアフリー基準の義務化
• 市町村による重点整備地区の設定
• マスタープラン策定における住民参加の義務化
• ホテル・旅館におけるバリアフリー客室数の基準設定

一見すると、非常に整備された制度のように見えます。この点についても後の記事にできればと思いました。

■ しかし現場では何が起きているのか

実際に障害当事者の視点で見たとき、現実は必ずしも理想通りではありません。

たとえば、「駅にエレベーターはあるが、目的地までのルートが途切れている」という問題があります。点としてのバリアフリーは存在しても、連続した移動として成立していないのです。

また、法律の対象外となる小規模施設では整備が進まず、「行ける場所」が限られてしまう現実もあります。さらに、基準を満たしていても「実際には使いにくい」ケースも多く見られます。

特に深刻なのが、災害時の避難所です。バリアフリートイレが存在しない指定避難所が多数あるという現状は、「最も困難な状況で、最も弱い立場の人が排除される」構造を示しています。

そしてもう一つ、大きな課題があります。それは情報がないことです。

「行ってみないと分からない」という状況が、外出そのものを諦める理由になってしまっているのです。

■ バリアフリー法の構造的な課題

これらの問題の根底には、「障害者のために整備する」という一方向の構造があります。

本来必要なのは、障害当事者が
• 情報を発信し
• 調査に関わり
• 設計や改善に参加する

という「主体」としての関与です。

しかし現状では、その仕組みが制度として十分に保障されていません。

■ だからこそ、私たちNPOができること

ここに、私たちの役割があります。

私たちが取り組んでいる「みんなのトイレマップ」や「仙台版みんなのトイレマップ」は、単なる地図サービスではありません。

それは、当事者が情報を持ち寄り、社会に還元する仕組みです。

具体的には、
• 多目的トイレの現地調査と詳細な情報の可視化
• 写真・寸法・設備情報など「使えるかどうか」が分かるデータの提供
• 障害当事者や支援団体と連携した調査体制の構築

といった取り組みを進めています。

これは、法律がカバーしきれない「実際の使いやすさ」や「情報の不足」を補完するものです。

■ 「点」から「線」へ、そして「選べる社会」へ

私たちが目指しているのは、単にトイレの場所を示すことではありません。

駅から目的地まで、街の中で「移動がつながる」こと。
そして、その情報をもとに「行くかどうかを自分で決められる」こと。

つまり、
• 点としてのバリアフリー → 線としてのバリアフリー
• 移動できる社会 → 選択できる社会

への転換です。

■ ひき続き考えていく点

バリアフリー法は、社会を前進させる重要な基盤です。
しかし、その制度だけでは届かない部分が確実に存在しているのかもしれません。

だからこそ私たちは、現場から情報を集め、可視化し、共有していきます。

その一つひとつが、誰かの「行ってみよう」という一歩につながると信じて。

今後も、仙台版みんなのトイレマップの整備をはじめ、当事者とともに社会を変えていく取り組みを考えてまいります。

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