NPO法人みんなのトイレマッププロジェクトは、第2期を終え、第3期へと進みます。
振り返ってみると、第2期は私たちにとって「実際に動いてみる」一年だったように思います。
2025年5月に法人を設立してから、私たちは「バリアフリー情報を誰かの一歩に」という思いを掲げ、活動を続けてきました。
多目的トイレの情報を集めること。駅のエレベーターや移動経路を調べること。そして、それらをITの力で分かりやすく届けること。
やりたいことは最初から比較的はっきりしていました。
しかし、実際に活動してみると、「情報を集めて公開する」という一見シンプルなことの中に、たくさんの課題があることも分かってきました。
「仙台版みんなのトイレマップ」が動き出した
第2期の大きな取り組みの一つが、「仙台版みんなのトイレマップ」です。

仙台市内の多目的トイレについて、単に「ある・ない」だけではなく、実際に利用する人が判断できる情報を届けることを目指してきました。
そのために今回、特に大切にしているのが「写真」です。
トイレの広さや設備はもちろん、鍵の位置や形、ゴミ箱の位置など、文章だけでは伝えにくい情報があります。
健常者にとっては気にしたことのないようなことでも、身体に不自由がある人にとっては、「自分一人で使えるか」を判断する大切な情報になることがあります。
だからこそ、できるだけ現地へ行き、自分たちの目で確認し、写真として残す。
第2期は、その調査を本格的に始めることができました。
やってみたからこそ見えてきた「情報の壁」
一方で、調査を進める中では、思っていた以上の難しさにも直面しました。
前向きに協力してくださる施設がある一方で、「セキュリティ上の理由」「前例がない」「管理上の問題」などから、調査に難色を示されるケースもありました。
最初は、「多目的トイレの写真を撮影して、必要としている人に届けたい」ということを説明すれば理解していただけると思っていました。
しかし、実際にはそれほど単純ではありませんでした。
施設には施設を管理する責任があります。清掃中の状態を撮影されたくないという考えもあれば、不特定多数に施設内の情報を公開することへの不安もあります。そもそも、誰が撮影を許可する権限を持っているのか分からない場合もあります。
活動する側だけの正しさを主張しても、前には進みません。
「なぜ情報が必要なのか」を丁寧に説明しながら、施設側が感じている不安についても理解していく。
第2期は、バリアフリー情報を集める活動であると同時に、「情報公開と施設管理をどう両立するのか」を考える一年にもなりました。
トイレだけではない、新しい取り組みも
もう一つ、第2期に動き始めたのが「ドコのる」です。
駅のホームで電車を降りたとき、「エレベーターはどちらにあるのか」。
車いすで電車を利用していると、このちょっとした情報が大きな安心につながります。
そこで、仙台市営地下鉄を舞台に、ホームのエレベーターやエスカレーターの位置、車両のどのドアから降りれば近いのかなどを調べる取り組みを進めています。
7月には、NPO法人仙台バリアフリーツアーセンターと一緒に「ステーションマップディ」を開催し、実際に車いすユーザーにも参加していただきながら駅を調査しました。

トイレと駅。
対象は違いますが、考え方は同じです。
「設備を新しくつくる」ことは、私たちにはできないかもしれません。
でも、今ある設備について情報を集め、「ここなら行ける」「ここは自分には難しい」と、一人ひとりが自分で選べるようにすることはできます。
それが、私たちの考える「情報のバリアフリー」です。
第3期は「届ける」ことに力を入れる
第2期は、調査を始め、いろいろな人とつながり、課題にぶつかりながらも、活動の形をつくってきた一年でした。
では、第3期は何をするのか。
一番大きなテーマは、集めた情報を「届ける」ことです。
調査をして、データを蓄積するだけでは、社会は変わりません。
その情報が実際に誰かのスマートフォンに届き、「ここなら行けそうだ」と判断する材料になって、初めて意味があります。
「仙台版みんなのトイレマップ」をさらに充実させること。
「ドコのる」を実際に使えるサービスへ近づけること。
そして、調査で得た情報をオープンデータやITとも組み合わせながら、より使いやすい形にしていくこと。
第3期は、「調べる」から、もう一歩先へ進みたいと思っています。
「誰かの一歩」を増やす第3期へ
第2期を振り返ると、うまくいったことばかりではありません。
調査を断られることもありました。予定通り進まないこともありました。
それでも、実際にまちへ出て、調べて、人と話してきたからこそ見えてきたことがあります。
私たちが欲しいのは、「すべての場所が誰にとっても完璧にバリアフリーになること」だけではありません。
段差があるなら、段差があると分かること。
トイレが狭いなら、どのくらい狭いのか分かること。
駅のエレベーターが遠いなら、どこにあるのか事前に分かること。
情報があれば、その人自身が選ぶことができます。
「分からないから、やめておこう」を、「分かったから、行ってみよう」へ。
そんな小さな変化を、一つずつ増やしていきたい。
第3期も、「バリアフリー情報を誰かの一歩に」という言葉を大切にしながら、活動を続けてまいります。
これからも、NPO法人みんなのトイレマッププロジェクトをよろしくお願いいたします。
