感情ではなく、少し整理して考えてみる
前回は、多目的トイレの調査をお願いしたときに、お断りされることがあるという話を書きました。
今回は少し視点を変えて、「なぜ断られるのか」を整理してみたいと思います。
私たちの活動で大切にしていることがあります。
それは、断られたからといって施設を悪者にしないことです。
相手には相手の立場があります。そこを理解しないまま「情報を出してください」とお願いし続けても、お互いに納得できる形にはなかなかならないからです。

断られる理由は、大きく4つくらいある
これまで多くの施設へお願いをしてきましたが、断られる理由はだいたい次の4つに分けられるように感じています。
1. 不特定多数に公開することへの不安
一番多いのはこれです。
「トイレの場所や設備を詳しく公開すると、誰でも施設の内部情報を知ることができてしまう。」
商業施設やオフィスビルでは、セキュリティを重視するのは当然です。だから内部情報の公開には慎重になります。
2. 過去のトラブルがある
以前に盗難やいたずら、不審者対応などを経験した施設ほど、情報提供には慎重になる傾向があります。
トイレは人目が届きにくい場所でもありますから、防犯という言葉が出てくるのも理解できます。
3. 誰が責任を持つのか分からない
例えば地図に掲載したあと、
「設備が変わったら?」
「情報が間違っていたら?」
誰が更新し、誰が責任を持つのか。
そこが見えないままだと、担当者としては「今回はお断りします」という判断になりやすいのでしょう。
4. なぜ情報が必要なのか伝わっていない
実はこれも結構あります。
私たちは「外出に必要な情報」と思っていますが、相手からすると「施設情報を教えてください」というお願いにしか見えていないことがあります。
その先に、
「この情報があるだけで安心して外出できる人がいる」
という背景が伝わっていないんですね。
だから「セキュリティ上の理由で…」という言葉でお断りされることも少なくありません。
「セキュリティ」という言葉は便利でもある
少し正直に言うと、「セキュリティ上の理由」という言葉は、とても便利な言葉でもあります。
担当者が判断できない依頼だったり、前例がなかったりすると、この一言で話を終えることができます。
もちろん担当者を責めたいわけではありません。
組織の中では、自分だけで判断できないこともたくさんあります。
だから、この言葉の背景には「判断する材料がない」という事情も含まれているのだと思います。
実は、多目的トイレだけの話ではない
こうしたことは、多目的トイレだけではありません。
例えば防災では、支援が必要な人の名簿を共有するべきか、個人情報を守るべきかという議論があります。
バリアフリー経路の情報や福祉施設の情報も、同じような悩みを抱えています。
つまり、
「情報を公開するリスク」
と
「情報がないことで困る人」
この2つをどう考えるかという話なんです。
そして多くの場合、公開するかどうかを決めるのは情報を持っている側です。
情報を必要としている人の声は、どうしても届きにくい。
そんな構造があるように感じています。
だからこそ、私たちが考えたいこと
施設側の事情は理解できます。
でも同時に、その情報があることで安心して外出できる人がいることも事実です。
だから私たちは、「情報をください」とお願いするだけではなく、施設にも安心して協力してもらえる仕組みを考えていく必要があります。
相手を責めるのではなく、お互いが納得できる方法を探す。
それが、この活動を続けるうえで一番大切なのではないかと思っています。
次回は、実際に私たちが「断られても情報を届けるため」に取り組んできた工夫について書いてみたいと思います。